「もしも詩が水だったなら」 菅原敏 詩集「かのひと」×五人の陶芸家

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1F 蔦屋書店

もしも詩を注ぐうつわがあったら、それでどんな形をして、どんな色をしているのだろう?
そんな問いかけに5名の陶芸家が、答えてくれました。ニーチェから小野小町まで、名だたる作家たちが残した古典作品が、気鋭の詩人・菅原敏によって超訳され、現代に蘇った詩集「かのひと」。この詩集から各陶芸家たちが一編の詩を選び、その詞にオマージュを捧げたうつわを制作します。ことばからイメージへの転換はどのように行われるのでしょうか?今年の春に銀座 蔦屋書店で開催された詩とうつわの企画展。好評につき、新しい作品を携えて京都に巡回いたします。

IBE アイビー
2016年9月にスタートしたオンラインセレクトショップ、IBE。
国やジャンルを問わず、クラフト・デザイン・アートといった既成の枠にとどまらない、"アートピース"のようなアイテムを取り扱っています。
http://www.ibetokyo.com/

菅原敏 Bin Sugawara
詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。執筆活動を軸に、異業種とのコラボレーション、ラジオやテレビでの朗読、デパートの館内放送ジャック、海外での朗読公演など、幅広く詩を表現。Superflyへの歌詞提供、東京藝術大学大学院との共同プロジェクト、美術家とのインスタレーションなど、音楽や美術との接点も多い。現在は雑誌「BRUTUS」や「GINZA」webほか連載も多数。2017年7月に新詩集『かのひと 超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)を上梓。
http://sugawarabin.com/


『かのひと』超訳 世界恋愛詩集   菅原敏[著]東京新聞 1,700円+税
図書館の片隅で埃をかぶっている古い詩集たち。その中にちいさな宝石を見つけ出すように。ゲーテやシェークスピアから小野小町まで、愛を題材とした古典作品をモチーフに、気鋭の詩人 菅原 敏氏が独自の感性で現代詩に昇華させた三十五編を収録。200年前の詩集の上に絵の具を落として描かれた、美術家 久保田沙耶による斬新な絵も詩集に彩りを与えている。ブックデザインは各方面で活躍中のKIGIが担当。発売直後より女性誌をはじめ様々なメディアで話題となり、増刷を重ねている異色の「超訳」恋愛詩集。

◆参加陶芸家×コラボ作品

池田優子 ×「愛される1時間」エミリー・ディキンソン
ここ最近、一段とコンセプチュアルな表現に挑む池田が今回こだわったのは釉薬。焼き上がりの発色を想像しながら、数日かけて数種類の釉薬をペイントするように施していきます。甘く官能的な空気を纏った器は、全ての理性を投げ打ってしまう、"恍惚の一瞬"を捉えたかのよう。池田のディキンソンへの深い敬愛も感じられる、オマージュともいえる作品です。

今井律子 ×「そうね、私は年をとった」小野小町
可愛らしくもどこか儚さを感じさせる今井の作品。小野小町の、昔の恋を想う底知れぬ哀しみは、今井の作風に自然と融和していきます。「夜の衣を裏返して着た」の一文には、誰もが経験したことのある切ない恋心がうたわれています。恋する人を思ってひとり眠る夜、そんな夜からイメージを発展させて、今井独自の世界観に落とし込んでいます。日本人ならではの、内に秘めた静かで繊細な感情を、一筆一筆細やかに描いた、渾身の作品です。

鈴木環 ×「さよなら、たまねぎ」フリードリヒ・ニーチェ
どこにでもあるなんの変哲もないたまねぎが、その質感を変えただけで、突如として不思議な違和感をもたらします。姿かたちはリアルなたまねぎが、鈴木の手によって、とろみのあるつるりとした陶のオブジェに生まれ変わりました。当たり前にあって、普段気にも留めないものの形やつくりが、実はとても美しいものだと改めて気付かせてくれる作品でもあります。

竹村良訓 ×「僕らはみんな落ちていく」ライナー・マリア・リルケ
もともと理工学部を志していたほど、理系肌だった竹村。彼はリルケの詩の、「落ちる」というキーワードに着目し、"放物線"の弧を内型とし、それをロクロで回転させることで、「放物面」を内包する器を生み出しました。数学的なアプローチから生まれた器は、美術と数学という一見相反するものが実は表裏一体だということを、気づかせてくれます。

結城彩 ×「月下独酌」李白
結城の作品には、「天のうつわ」という屋号が表すように、どこか宇宙や夜空を彷彿とさせる世界観があります。そんな彼女が、李白の「月下独酌」を選んだのも必然だったように感じます。月明かりの下でひとり酒を飲む。盃に注がれた酒に映る月や、地面に落ちる影・・・。次々と浮かぶ美しい情景にふさわしい、もはやこれ以外はないと思えるような、凛とした酒器を編み出してくれました。

展開期間:2018年8月3日(金)~9月3日(月)